オーガニック野菜は近年人気が高まっていますが、どのような特徴や定義があるのか知らないという人も多いでしょう。何となく体によさそう…という理由だけで選びがちですが、オーガニック野菜の魅力を理解すると、改めて美味しさをしみじみと感じられるようになることも。そこで今回は、オーガニック野菜とは何か、特徴や魅力について徹底解説していきましょう。
オーガニック野菜とは何か?
では、まずはオーガニック野菜を理解するうえで知っておきたい特徴をご説明しましょう。オーガニックのお店やレストランなどが続々と増えているのは、魅力がたくさんあるからなのです。
有機肥料で栽培した野菜
オーガニック野菜とは、有機肥料で栽培した野菜のことです。有機肥料とは植物由来や動物などの有機物が原料になった肥料のことで、土壌の質が高くなり農作物を健康的に栽培できるメリットがあります。
有機肥料の原料には、生ごみなどを発酵させたものや動物の排泄物である牛糞や鶏糞など、米かすや油かすなどの植物性有機物、家畜由来の魚かすなどもあります。
これらの有機肥料は、化学性肥料と比較すると即効性が低い面はありますが、長期的に土壌のバクテリアなど、暮らしを助ける魅力もあります。オーガニック野菜とは、これらの肥料や堆肥で土壌を作り、種まきや植え付けの2年前から化学合成農薬や化学肥料を使用していないところで栽培しています。
栽培中も有機肥料だけで、農薬や化学肥料は使用しないので、安心して食べられることは魅力になるでしょう。
遺伝子組み換えはなし
オーガニック野菜とは、遺伝子組み換え技術を使用しない特徴があります。遺伝子組み換えとは、生物の細胞より有用な遺伝子を取り別の生物に組み込むもの。
この技術は、医薬品、食品、農業、工業などで幅広く活用されており、品種改良で不可能なものを作れるようになる、また農薬の使用量を減らすといったメリットがあります。
しかし問題視されるのは、他の作物への影響や環境破壊、生物の多様性が増える、長期間摂取すると子孫への影響がある、またアレルギーが悪化するといったこともいわれています。
遺伝子組み換えは、有用成分が多い大豆、変色させたバラなどの作物例がありますが、オーガニック野菜は遺伝子組み換えのリスクを考慮した農作物といえます。
味がいい
オーガニック野菜は、普通の野菜よりも美味しいとされています。その理由はよい土壌から生まれるためで、有機肥料で土壌内の微生物が活性化され、作物と共生できるからなのです。
人間なら腸内環境と同じで、善玉菌を増やしたほうが健康にメリットがあるのと似ています。土壌内の微生物には悪玉菌も善玉菌もいますが、オーガニック野菜は善玉菌のバランスを高める環境が整っているといえるでしょう。
味がいいのは土壌だけでなく肥糧も関係しており、バランスが整った肥糧で美味しい農作物を作るのは、生産者の技術も関係しています。オーガニック野菜は旬に強いことも特徴で、美味しい時期に鮮度の高いものが店頭に並びます。
瑞々しい野菜、食感がいいもの、自然な甘さや苦みといった風味のバランスがとれているのは、オーガニック野菜の大きな魅力です。
エコロジーである
「オーガニック野菜=健康によさそう」という意見はとても多いのですが、それだけではなく地球温暖化を止めたり、自然の生物を大事にしたりするエコロジー的発想も特徴です。
「生態系」「健康」「公正」「配慮」は、オーガニックの原則4項目。化学肥料や農薬を使用しないため、環境保全につながっています。健康な生活をサポートするために添加物をできるだけ減らす、植民地栽培の排除など、多様性のある目的を掲げています。
オーガニック認証の種類
オーガニック商品は、野菜だけではありません。世界的にトレンドとなっているオーガニックですが、日本で有名なのは「有機JASマーク」がまず挙げられます。
これは第三者機関が証明するもので、平成11年JAS法に基づき有機食品の検査認証制度がスタートしました。そもそもオーガニック認証は、環境や生物の負荷を最小限に抑えた製造方法で作った製品であることを証明するものです。
各国基準は異なり、アメリカなら「USDA」が有名なオーガニック認証。基準はかなり高く、全成分95%以上がオーガニック栽培の原料で作られたものとされています。
他にもエコサート認証やユーロリーフ認証、GOTS認証などがあり、どれも基準を満たしたものが認証されています。海外のオーガニック製品を購入する場合は、このような認証を確認しておくと安心です。
栄養素が豊富
オーガニック野菜は、市販の一般的な野菜よりも優れた栄養素が特徴です。たとえばビタミンCなら、一般的な野菜よりも2倍ほど多くなる品種も。
有機肥料を使っているので、微生物が有機物を分解し、ビタミンC含有量が高くなると考えられています。ビタミンCは体内の活性酸素を減らし、肌環境にもよいことで知られる栄養素です。
また、オーガニック野菜には老化予防効果が期待できる抗酸化物質が豊富に含まれています。注目したいのは、硫酸態窒素について。これは肝障害やがんを引き起こすリスクがあるといわれるもので、オーガニック野菜には少ないことが特徴です。
たくさん肥料を与えて栽培された野菜は成長が早いものの、養分が使いきれず、それが硫酸態窒素として蓄積されると考えられています。オーガニック野菜は栄養価が高いだけでなく、安全性も高いことがわかります。
有機栽培との違いについて
オーガニックとは、英語の「有機栽培」という意味があり、有機野菜はオーガニック野菜と同義になります。どちらも有機JASの条件を満たしたものでないと認定はされず、有機野菜やオーガニック野菜と表示することはできません。
オーガニック料理を取り入れよう!
オーガニック野菜を堪能するには、調理方法も知っておきたいポイントです。では、オーガニック野菜を美味しく食べるコツについても詳しくお伝えしていきましょう。
オーガニック料理とは?
オーガニック料理に厳しい定義はないものの、オーガニック野菜や有機栽培された食材を使う料理のことです。さらに調理方法、リサイクル技術などにもこだわり、栄養価や環境保全など、オーガニックの目的も意識して料理をします。
ヘルシーでシンプル、しかも美味しいのがオーガニック料理の魅力。市販の食材半分の以上に食品添加物が含まれている時代ですが、オーガニック料理は食の安全性も守っていることが特徴です。
料理のコツ
オーガニック素材の魅力を活かすためには、料理で意識したいポイントがあります。オーガニック野菜は栄養価が高くビタミンも多いことから、できるだけシンプルに料理することがコツ。
素材の味を実感するには、調味料はあまり使用しないほうがよいでしょう。とくに塩分は、健康維持のためにも摂りすぎに注意したいですね。
調理する際には、できるだけ素材を活かして自然の旨味や風味を実感しましょう。サラダなどの生食、蒸す、煮るなどのシンプルな調理方法で食べることがおすすめ。オリーブオイル、ハーブなどを使ってみるのもよいでしょう。
デメリットについて
オーガニック野菜を使った料理は、デメリットに感じる部分もあります。まず見た目ですが、野菜は形が不揃い、色が揃っていないということもあるでしょう。
綺麗で均等に並ぶ野菜ばかり見ていると、料理の印象が若干異なるかもしれません。また、オーガニック料理はコストが高くなることもデメリットです。しかし価値の高いオーガニック野菜は、食べることで更に自然に感謝できるでしょう。
まとめ
オーガニック野菜は安全性が高く、地球保全のメリットも期待できますので、食卓に少しでも取り入れることで満足感が湧いてくることもあるでしょう。
毎日口にするものは、納得できるものが一番。オーガニック野菜が人気なのは、心も体も綺麗になれるからなのかもしれません。